2023年6月30日(金)に、福岡市博多区の「WITH THE STYLE FUKUOKA」にて「Google Cloud Day ’23 Tour in FUKUOKA」が開催されました。
Google Cloud Dayは、Google Cloudの最新ソリューションとお客様事例をお届けするカンファレンスです。
今年は東京、大阪、名古屋、福岡の4都市で開催され、各地域における最先端のDX事例が紹介されるイベントとなっております。
又、Google Cloudが取り組んでいるDXの実現について、経営面や技術的観点から学べる機会となっています。
このイベントでは、様々な企業によりGoogle Cloud活用事例に関する講演が行われましたが、当社も「ホームセンターグッデイにおける Google Workspace 実践活用事例」と題し、社長の柳瀬、店舗運営部の佐藤、人事総務部の中垣による講演を行いました。
今回はその模様をお届けいたします。
(講演前の様子)
1.グッデイにおけるGoogle Cloudの活用状況
まずは弊社社長の柳瀬により、ホームセンター「GooDay」を運営している株式会社グッデイでのGoogle Cloud活用の概要について話をしました。
<柳瀬>
グッデイがGoogle Workspaceを導入したのは2015年4月。
様々な候補の中でGoogle Workspaceを選んだのは、当時最も先進的でイノベーティブなグループウェアだと考えたからでした。
そこには、社長として新しいものをどんどん取り入れていきたいという思いもありました。
導入前はIT化の進んでいない社内でリテラシーの低い従業員が使いこなせるのか、使用方法についてシステム部へ質問が殺到するのではないかという不安がありました。
ところが、意外なほどスムーズに導入が進み、システム部への問合せもほとんどありませんでした。
社内のスケジュール調整や会議室の予約は全てGoogleカレンダーに一本化し、並行運用していた旧来の管理方法はすぐに廃止されました。
(柳瀬の講演の様子)
導入初期に工夫した点として、以下の4つが挙げられます。
① 共同編集機能の活用
スプレッドシートの共同編集機能を非常に便利だと感じたため、皆で情報を書き込んで共有することを積極的に取り入れました。
② ペーパーレス化の推進
会議資料は一切印刷せず、タブレットもしくはパソコンでGoogle Workspaceで作成した資料を確認することを徹底させることで、ペーパーレス化を推進しました。
③ 「共有」ボタンでのファイル共有の推奨
資料の共有はメールの添付ファイルではなく、Google Workspaceの共有機能を利用するように徹底しました。
④ Google Apps Script勉強会の開催・スキルアップ
Google Apps Scriptの便利さからより有効活用を促していくべく、社内での研修の開催や業務自動化への取り組みを実施しました。
よって、「Google Workspaceを使い倒す」ことを会社の方針として定め、店舗での積極的な活用とGoogle Apps Scriptによる自動化の促進で、社内での活用が進んでいきました。
2.店舗におけるGoogle Workspace活用事例
ここからは、実際にGoogle Workspaceを活用している従業員の視点からの話として、福岡西地区のエリアマネージャー(※)である佐藤が登壇しました。
※担当地域(エリア)に該当する複数店舗を運営・管理統括する役職
(佐藤の講演の様子)
<佐藤>
Google Workspace導入前、社内の連絡ツールは電話かFAXのみでした。
又、本部からの業務指示は週に1度紙で送られており、店舗に届くころには業務指示にある対応期限が切れてしまっていることも多々ありました。
当時は一売場担当者だったので「期限が切れてるからしょうがないよね」と半ば諦めていました。
そのような状況の中で2015年にGoogle Workspaceが導入されました。
メールで業務指示が送られるようになって情報連携がスピーディになり、これだけでもすごいことだと驚きました。
Google Workspaceの利用が浸透するきっかけとしては、自然災害の影響による社内の変化が大きかったと感じています。
エリアマネージャーとして台風被害と熊本地震を経験しました。
熊本地震発生時には、一報を受けて急ぎ現地に向かい、現場の状況や従業員の安否を確認しました。
車を走らせながら「本部への報告書づくりが大変そうだな」という気持ちがよぎりました。
このような時、皆さんならどう対応されるでしょうか。
この時に非常に役立ったのが、GoogleスプレッドシートとGoogleドライブでした。
現場の被害状況を各店舗の店長やスタッフに撮影してもらい、その画像を直接Googleドライブにアップロードしてもらうことで、リアルタイムに被害状況の確認をすることができました。
又、災害時の店舗の被害状況や営業時間など、共通のスプレッドシートに各店長が一斉に書き込むことで、瞬時に状況が確認できた為、被害の把握とその対応策の検討に時間を充てることが可能となりました。
(災害時のGoogle Workspace活用状況について語る)
又、エリア内での取り組みとして、業務指示や日報等のやり取りをチャットで行い、店長と相互に情報連携する様にしています。
そして、Google Meetを活用した週一のエリアミーティングも実施しています。
Google Meetを利用して良かった点は、移動時間が削減されること、そして定期開催できるようになったことです。
活発なやり取りで情報共有が進み、良い事例があればエリア内の他店にすぐ横展開できるなど、情報の伝達が非常に速くなっています。
店舗ではGoogleチャットとGoogleカレンダーを使ったタスク管理を行っています。
Googleカレンダーの入力はもちろんのこと、To Doリストを活用して個別に作業指示をしています。
作業の失念防止につながるだけでなく、進捗管理も簡単になりました。
スプレッドシートを用いて、店舗のメンバーと数値や店舗運営に関する情報の記録を行っていますが、複数人で編集するため情報のずれがないこともGoogle Workspaceの良い点です。
Excelを使っていてデータが消えてしまった苦い経験のある方もいらっしゃるかもしれませんが、スプレッドシートは自動で保存される上に更新情報も共有できるため、情報の抜け漏れがなくなるので安心です。
店舗の従業員が異動により入れ替わっても、対策や取り組みにバラつきが出ないよう、店舗の指針に関する情報等についてはスプレッドシートを用意して各店で記載する様依頼しています。
人が変わっても同じことが出来るような仕組みを作ることで、店舗のスタッフからも「非常に助かる」との声があがっています。
自分自身はエンジニアではありませんし、もともとパソコンが得意だったわけでもありません。
一から手探りで進めていく中で浸透していったと感じています。
Google Workspaceは誰でも使えるツールなので、それが一番の強みではないかと感じています。
日々の業務フローについてですが、急ぎの指示はチャット、それ以外はスプレッドシートで毎週月曜日に配信し、緊急時以外の不要な電話を避けています。
以前は一人ひとりに電話をして業務指示が完了しているか確認をしていましたが、その時間がなくなって非常に効率が良くなったと思います。
そして、会社への提出資料はGoogleスライド・ドキュメント・スプレッドシートに統一しています。
もちろんペーパーレスです。
無駄な資料作成や提出物が減ることにより便利さを実感できたことで、従業員自らがGoogle Workspaceを使いこなすようになったのではないかと思います。
Google Workspaceの導入で仕事のやり方が劇的に変化し、作業の簡略化と効率化を実現しました。
今では「これがなくなると正直仕事ができないな」と感じるくらい浸透しているツールです。
3.Google Apps Scriptの活用事例と社内研修
最後に人事総務部の中垣からGoogle App Scriptの活用事例と社内での研修に関する話をしました。
<中垣>
社内の業務において、各現場担当者はGoogle Workspaceをはじめとする、様々な業務アプリ・ソフトを使用しているのですが、もっとこうしてほしい、こうならないのか等「小さな不満」も生じています。
このような不満を改善するために、Google App Scriptが非常に有効です。
改善にあたっては難しいコードを書けるような高いスキルは必要ないということを、いかに社内に広めていけるか考えて取り組んでいます。
(中垣の講演の様子)
Google App Script活用の具体例として、スプレッドシートとメールを組み合わせた取組みがあります。
グッデイでは日々の店舗売上のデータをクラウドDWH(Google Big Query)に自動連携・蓄積していますが、Google BigQuery上に蓄積されたデータを使って、スプレッドシートで売上の日計表(店舗売上の合計額を集計する表)を自動作成(更新)し、更新作業が完了したら、毎朝決まった時間にメールが自動送信される様にしております。
この一連の対応をGoogle App Scriptで自動化しています。
やっていることは非常にシンプルですが、毎日人の手で作業していたらかなりの工数がかかってしまいます。
ほんの少しのコードで、工数を大きく削減することができました。
又、弊社では社内の業務マニュアルをGoogleスライドで作成していますが、担当者によっては更新が滞り、内容がどこまで正確かわからなくなることがありました。
全体管理者からその都度問い合わせると多くの手間がかかってしまいます。
そこで、マニュアルの更新状況を全てスプレッドシートで管理し、決まったタイミングで担当者のチャットに更新依頼を直接送信するようにしました。
この結果、管理コストの削減と更新漏れの回避が実現され、更新した箇所の把握も容易になりました。
このように少しやり方を変えてみると、そこまで難しくないコードだけで一気に業務を改善することができます。
又、社内におけるこれらの取り組みは、いずれもエンジニアではない社員によって行われたものです。
全社的にGoogle Workspaceを活用しているからこそ「小さな不満の改善」が大きな効果を及ぼしていきます。
グッデイは小売の企業であり、ほとんどの社員がプログラミングの経験もありません。
非エンジニアの社員に対し、Google App Scriptがいかに便利で、かつ簡単に業務を改善してくれるのかを伝えるため、社内での研修を実施しています。
弊社で実施している研修の大きな特徴は、全て内製化で行っていることです。
弊社には、かつて何もわからない状況からプログラミングスキルを学び、目の前の業務に活用できる方法を模索した経験のある従業員がいます。
そのノウハウをいかし、実際の業務とリンクする内容の研修資料を作成することで、業務への具体的な活用イメージを持ちやすくしています。
もともとプログラミングをやったことのない人は「とても難しい」と思いがちですので、自分の身の回りで活用できる事例を盛り込むことで、プログラミング学習のハードルを下げることを目標にしています。
研修は全7回の構成になっています。
ただ教科書的に構文を教えるだけではなく、実際の業務をもとにした具体例を用いることで定着を図っています。
(社内研修について説明)
これらのプログラムを通じて、中長期的な人材育成に注力しています。
20代〜40代の社員を中心に、未経験の状態から研修を受けて、それぞれの業務に合わせてGoogle App Scriptを活用できるようになっています。
「自分の力で業務を改善した」というちょっとした成功体験が重要で、これが自分から次のステップへ進もうとするエネルギーを与えてくれます。
又、研修を通じてデータリテラシーが向上し、何より会社全体のレベルアップにもつながっています。
4.まとめ
最後に、社長の柳瀬より講演のまとめを行いました。
<柳瀬>
当初は本部社員のみの導入だったGoogle Workspaceですが、今では全社員に広がっています。
一番最後に導入されたのは店舗の若手社員でしたが、「自分たちも使いたい」という現場からの熱い要望により導入されました。
(社内でのGoogle Workspace利用状況を説明)
まず、重要なのは社員が自分たちで工夫しつつ楽しみながら利用してくれていることです。
これは社長の立場としては、非常にありがたいことだと感じています。
又、使う中で自然とウェブアプリやクラウドに慣れることもできています。
現在では業務システムもウェブアプリ化されています。
以前は異動に伴うデータの引継ぎに大きな手間がかかっていました。
しかし、現在ではクラウド上に全てのデータがあるため、アカウントを引き継いでログインするだけで確認ができるようになっており、データやデバイスの管理が非常に楽になりました。
さらに、Google App Scriptを用いた業務改善や研修の実施により、社員のプログラミングスキルも向上している、という効果も出てきています。
本日はご清聴いただきありがとうございました。
【Ask the Speakers】
講演終了後、「Ask the Speakers」と題した登壇者との交流の場が設けられ、参加者の方からの質問にお答えしたり、情報交換の場として活用されました。
弊社の発表後には多くの参加者様にお越しいただき、Google Cloudの活用を推進する皆さまとの貴重な交流の機会になったと思います。
(多くの参加者の方にお越しいただき、交流を深めました。)
今回の講演で、Google WorkspaceやGoogle App ScirptといったGoogle社のサービスを用いてDX化を進めたグッデイでの取り組みについて、経営者の視点、及び実際に利用する従業員の生の声をお届けいたしました。
そのため、これからデジタル化を進めたいと考えている多くの参加者の方に興味関心を持っていただけたのではないかと思います。
ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。
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「カホエンタープライズ」はグッデイでの経験・ノウハウを基に様々な企業に対しGoogle Workspaceの導入・活用支援を行っております。
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<問い合わせ先>
株式会社カホエンタープライズ
担当者:湯野 礼之輔(ゆの れいのすけ)
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