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「DX CAMP 2023」にて当社代表の柳瀬が講演を行いました!

2023.09.06

 

2023年8月22日(火)開催のオンラインセミナー「DX CAMP 2023 夏 for 地方企業リーダー」に、弊社社長の柳瀬が登壇いたしました。
今回は講演の模様をお届けいたします。

今回の講演の題目は「なぜ九州のホームセンターが国内有数のDX企業になれたか」。
ホームセンター「GooDay」におけるデータ活用や社内教育の取り組みについて、実体験をもとにした講演内容となっております。

<講演内容>
1. グッデイの紹介
株式会社グッデイ(北部九州と山口県にホームセンター「GooDay」を64店舗展開)では2015年からデジタル活用による社内の変革、所謂DX化の取り組みを進めておりますが、その取り組みが様々な所で評価頂いており、昨年は「日本DX大賞」大規模法人部門において、「大賞」を受賞しております。

▪️グッデイにおけるDXの取り組みについて
 2015~2016年:データ分析基盤(クラウドデータウェアハウスシステム)等の環境構築
 2017~2019年:社内におけるデータ活用の推進・定着化
 2020年~:社内システムの改善

2. かつてのグッデイについて
柳瀬が中途入社した2008年当時の「グッデイ」は、IT活用が全く進んでいない典型的なアナログ企業で、同業他社に押され業績が伸び悩んでいました。
また、今までの仕組み・働き方を変えられない等、保守的な企業風土が根強く残っていました。
当時、業務上の判断は担当者レベルの「経験と勘」に基づいており、予算もなく目の前の業務に手一杯で、中長期的な会社としての目標も定まっていない状況でした。

3. DX化の取り組みをスタート
改革に着手したのは2015年のことでした。
いきなり大規模なシステムを導入したりと性急なデジタル化を行ったのではなく、まずは「社内に蓄積されているデータを活用しよう」といった、小さく・自分たちで対応できる所から着手していきました。 
又、柳瀬自身データサイエンスに関する学習をしている中で、「Tableau」というセルフBIサービスの存在を知り、試用を開始。
その利便性から、「Tableau」を活用したデータの可視化に取り組み始めました。

4. データ分析環境の用意
データ活用を進めていくにあたり、バラバラで管理されていた社内外の様々なデータを一元的に管理するシステムを構築する検討をスタートしました。
しかし、当時のシステム部長は、社内の業務をつつがなく回していくことに重きを置いており、新しいシステムの導入には消極的でした。
そんな中、2014年に新たなシステム部長が就任したのですが、新しいシステム導入にも非常に積極的で、柳瀬と連携を取りながら、クラウド型のデータ分析基盤(データウェアハウス)システムの構築を進めていきました。
既存の社内システムには一切手を加えず、蓄積されているデータのみデータ分析基盤(データウェアハウス)上へ連携し、そこにTableauを接続することで、大量データを高パフォーマンスで自由に操作・可視化できる環境を構築しました。
このようなデータ分析する環境を用意することのメリットとして、下記の4点が挙げられます。

⚫︎ これまで多大な時間がかかっていたデータの集計作業が一瞬で完結
⚫︎ 従来はできなかった高度で複雑なデータ分析を実現
⚫︎ 数字を見て判断することの習慣化
⚫︎ 「経験と勘」ではなく「数値とロジック」による意思決定の実現

5. DXを推進するにあたってのポイント(「トップダウン」か「ボトムアップ」か)
DXの推進を検討されている企業の方によく聞かれるのが、「トップダウンで改革を進めるのと、ボトムアップで変化を起こすことのどちらが良いのか」という内容です。
これについては、「両方が重要である」と考えています。
まずトップダウンについてですが、社長自らがデジタルスキルやデータサイエンスに関する知識を学び、その知識を経営上の意思決定に活用することが重要です。
又、ボトムアップについても、現場の業務をよく理解しているスタッフがデジタルスキルやデータサイエンスに関する知識、そしてITツールの使い方を学習し、現場業務での実践に取り入れていくことが重要です。
経営層と従業員が連携し、二人三脚で進めていくことが非常に重要となります。

6. データ人材の育成
グッデイには「Gooday Data Academy」と呼ばれる社内教育プログラムがあります。
これは、従来店舗で働いていた様な非エンジニアのメンバーを教育し、データ活用に関する理解を深めるための教育カリキュラムです。
「社内にDX人材がいなくて困っている」という話をよく耳にしますが、そもそも「DX」という言葉自体がここ5~6年くらいで言われ始めたものなので、これに適応した人材がいないのは当たり前のことだと思われます。
そのため、やはり自社での人材育成が鍵になってくると言えます。
「GooDay Data Academy」では「知行合一」という言葉をコンセプトとして掲げています。
この言葉には、単なる座学にとどまらず、実務に沿ったユースケースを想定しながら統計やTableauを用いたデータ活用に関する知識を学習することで、知識と行動の一体化を目指す意味が込められています。
毎年約10名程度の従業員が「GooDay Data Academy」を受講し、各部署に受講者を配置することで、従業員通しの教え合い・学び合いによるデジタルスキルやデータ活用の浸透を目指しています。

7. 店舗システムのDX化の取り組み
グッデイでは、自社の店舗業務システムのWebアプリ化も実現しました。
旧来のグッデイにおける店舗業務システムは、1995年頃にCOBOLのプログラム言語を用いて内製で構築されたオンプレミス型のシステムで、自動発注やEDI、在庫管理機能等、当時としては比較的先進的な機能を有していました。
しかし、業務の変化や要件の変更に対応することが非常に難しく、わずかな改修を行うにも外注しなければならないため、多くの時間と手間がかかっていました。
また、このシステムを使える端末は各店舗に1台のみと非常に不便で、作業するために従業員がパソコンの前に並んで待っている状況も度々発生していました。
さらに、システムの詳細を把握しているのは前任のシステム部長のみで、メンテナンスするのも困難な状況でした。
この古い店舗業務システムを刷新すべく社内メンバーで検討をはじめ、グッデイのシステム部のメンバーと外注先の担当者を合わせて1年半ほどの期間で新店舗業務システム(Webアプリ化)を構築し、一部店舗で試験的に導入して実際の使用感を試したうえで、半年ほどの並行運用期間を設けて新システムへ完全移行しました。
新店舗業務システムの大きな利点は、改修が容易に実施できること、情報へのアクセスが簡易になることです。
店舗からの改善要望をすぐに反映し、ほぼ毎週のように改善内容をリリースしています。

8. DX化によるグッデイに起きた変化
グッデイにおけるDX化の取り組みを通じて、最も大きく変わったのは「人」です。
特に、社内にIT人材が大きく増加しました。
要因として挙げられるのは、中途採用人材及びデジタルスキルを身に付けた社内人材の増加です。
まず、中途採用については、データ分析やクラウド活用に興味のある人材を重点的に採用できるようになったことが大きく、必要なスキルを持った人材をピンポイントで採用できるようになりました。
又、自社でデータ活用を進める中で、デジタルスキルを身につけた人材が社内から複数登場したこともあり、自社業務や課題が分かっているプロパー社員の力で、効率よく作業が進められています。
さらに、従業員の意識にも大きな変化が起こりました。
新しい知識を習得することの重要性に従業員が気づき、社内に「学ぶ」・「変わる」文化が生まれました。
学習する意識が芽生えたことで、「出来ない」「分からない」ということは自分のスキルや知識不足に起因するものであると気づき、謙虚に学んでスキルアップできるようになりました。
結果、最先端のトレンド等の変化に敏感になり、流行や最新情報をキャッチできるようにもなっています。

9. DXへの抵抗勢力
このようにDXを推進した話をする際に、「社内でDXに抵抗する人はいなかったのか」ということを度々訊かれます。
グッデイの場合、社内の変革に伴う混乱やトラブルはほぼ無く、むしろ新しいツールを導入することで便利になったという声が多く聞かれました。
グッデイにおける変革がうまくいった要因としては以下の点が考えられます。

⚫︎ コア業務から改革に着手したことで、多くの従業員にとっては日々の業務で使用するツールが大きく変わることは無いため、抵抗が少なかった。
⚫︎ 「GooDay Data Academy」を受講した従業員を最低1名は各部署に配置し、部署内で従業員どうしが教え合うことで、ITに関する知識が社内に広がった。
⚫︎ 従業員に対して新しいツールの使用を強制せず、興味のある人から使ってもらうスタンスで改革に取り組んだ。
⚫︎ クラウドやWebアプリ等、ITに関する細かい知識や言葉を意識せず使える仕組みを作ることで、ITリテラシーの低い人も抵抗なく使用できるようになった。

10. DX化成功のポイントは「人」
DXの本質は「デジタル(Digital)による企業の変革(Transformation)」であり、人と組織の変革を行うことであると言えます。
デジタル技術の活用によって人の行動や意識が変わることにこそ意味があります。
よって、組織が変化するためには、その中で働く「人」が変わらなければなりません。
会社は人の集まりであるため、人が変われば自ずと会社も変わっていくことになります。
グッデイでも当初は精神論的なアプローチを試みていたものの、なかなかうまくいきませんでしたが、人材育成の仕組みを整えたり、デジタル技術を積極的に採用・活用することが従業員の働きやすい環境に繫るといった利便性を体感できるように方針転換したことで、スムーズに社内へ浸透していくようになりました。
今、各企業でDX推進を担っているリーダーの方がおられると思いますが、組織変革には大きな困難が伴います。
変革を主導するリーダーに必要なのは、従業員をリードし進むべき方向を決めることです。
そして、自分が導いた先で組織と人の成長が実感できると、それが非常に大きなやりがいになると思います。

ということで、今回はグッデイにおけるDX化の取り組みについて講演致しましたが、より詳細に当社の取り組みについて知りたい等ございましたら、今回の講演のタイトルでもあります「なぜ九州のホームセンターが国内有数のDX企業になれたか」という書籍が出版されておりますので、是非この機会に手にとって頂けますと幸いでございます。
本書については、データ活用や人材育成など、DX化に取り組みをされている企業の皆様にとって非常に参考になる一冊となっています。
(詳細はこちらからご確認いただけます。)

今回の講演会の参加者は、地方に拠点を構える企業でDXを推進されているリーダークラス(部長職以上)の方限定となっておりました。
福岡といった地方都市から国内有数のDX企業となったグッデイの存在が、組織改革に悩みを抱えておられる地方企業の皆様の後押しとなれば幸いです。
ご参加頂いた皆様、誠にありがとうございました。

「カホエンタープライズ」はグッデイでの経験・ノウハウを基に様々な企業に対し、データ活用支援(データウェアハウスシステムの構築から、Tableauライセンス導入・Tableauを用いた分析画面の構築支援、DX人材育成支援等)を行っております。
データ活用支援に関してお問合せは下記に宜しくお願い致します。

<問い合わせ先>
株式会社カホエンタープライズ
担当者:湯野 礼之輔(ゆの れいのすけ)
Mail:sales@kaho-enterprise.co.jp
TEL:070-8814-5939