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当社代表柳瀬による講演 「未来の人事展 in 九州 -組織の生産性を高める1日-」

2023.06.12

 

6月2日(金)にJR九州ホールで開催された「未来の人事展 in 九州-組織の生産性を高める1日-」において、弊社代表の柳瀬が講演を行いました。
今回の講演の題目は「グッデイ柳瀬氏の”先見の明”-人材育成による組織風土改革-」となります。今回はその模様や講演内容について紹介したいと思います。

【講演内容】
株式会社グッデイは、北部九州・山口を中心にホームセンター「GooDay」を60店舗以上展開しております。
1号店は1978年に開店し、40年以上の歴史があります。
「家族でつくるいい1日」をモットーに、九州で暮らす皆様の生活を支えるべく活動してきました。

弊社代表の柳瀬は、創業者から数えて3代目にあたります。
創業当時のグッデイはラジオや無線のパーツ販売を行っており、「デンキのカホ」という家電量販店を展開していました。
その名残は、現在のグッデイの親会社である「嘉穂無線ホールディングス」の社名に見ることができます。

〜暗黒時代のグッデイ〜
現在では小売業におけるDXの最先端を行く企業としても注目されるグッデイですが、かつてはDXとは対極の状況にありました。
柳瀬は大手商社勤務を経て、2008年にグッデイに入社しましたが、当時は衝撃の連続だったと言います。
まず、会社にはホームページも個人のメールアドレスも無い状況で、商品の在庫状況を確認できる端末は倉庫にあるデスクトップパソコン1台のみ。
お客様からの問い合わせが相次ぐと、従業員がパソコンの前に列をなすという有様で、店舗で使用されているシステムも非常に古く、業務を行うために大量の紙が印刷される状況であったとのことでした。
後に柳瀬が「暗黒時代」と語った入社初期の時期は、どこから改革すればいいものか分からず、途方に暮れる時期もあったと言います。

〜変革への取り組み〜
そんな中、まずは自分が手をつけ易い所から改革を推し進めるべく、まず最初に取り組んだのがCMの作成。
こうして出来上がった「グッデイならできる♪」というフレーズでおなじみのテレビCMは、「DIY」という言葉を使わずにDIYを表現するという斬新さが高く評価されました。
また、当時100以上の業者が毎日バラバラに商品を納品しており検品に非常に手間がかかっていたため、これを改善すべく物流センターを創設にも着手しました。

少しずつ社内の改革に着手し始めた柳瀬が次に取り組んだのが、商品部と店舗運営部の改革でした。
しかし、旧来の働き方が染みついている社員を変えるのは非常に難しく、なかなか意識改革できません。
組織の風土や従業員の意識まで変えるには非常に多くの労力が必要で、柳瀬も相当苦心した部分であったと振り返っていました。


(入社直後の苦心した時期について語る柳瀬)

〜DX化への取り組み〜
様々な変革に取り組んでいる中、2014年に新しく就任したシステム部長が、クラウドのデータベースシステム(データウェアハウス)を構築します。
様々な社内システムのデータをクラウドのデータウェアハウス上に連携し、それらのデータを効果的に活用できる様 様々なデータ分析ソフト(BIツール)を検討した結果、2015年にTableauを導入するに至ります。
当初は数名のメンバーとTableauを検証しつつ、データを整備するところから着手し、徐々に利用範囲・メンバーを広げていきました。

社内にあるデータを分析に活用するとなると、基幹システム等既存の社内システムの改修が必要では無いか、と思われる方もいらっしゃるかと思います。
しかし、当社は既存の社内システムには一切手を入れず、各システムからデータを抽出、データウェアハウスに自動連携し、データウェアハウスに直接Tableauを繋ぐことで、データ分析する仕組みを採用しました。
この様にデータ活用・分析できる環境が整い、社内でもTableauを用いたデータ可視化できる人材も増え、データ活用に関する取り組みが徐々に社内で定着していくにつれ、暗黒時代から抜け出す兆しが見え始めました。


(データ分析基盤について説明する柳瀬)

〜データ活用の定着化〜
柳瀬が目指したのは「データドリブン経営」と「現場主義の融合」でした。経営層と現場との間にギャップが生じると、思うようにマネジメントが機能しない状況が発生しがちです。
データを活用し業績を改善することで、従業員のモチベーションアップにつながるのが一番望ましいと考えておりました。
経営側でデータ活用を進めていくという強い方針を打ち出した後、データ活用の定着に必要となるのが「教育」です。
そこで2015年から始まったのが「Gooday Data Academy」という社内の人材育成プロジェクトになります。

「GooDay Data Academy」は各部署から選ばれた従業員が参加し、データを業務に活かしていく為の基礎知識習得を目的とした教育カリキュラムを複数回に分けて受講する取り組みとなっております。
研修のポイントは「知行合一」という言葉に込められています。
単なる座学ではなく、実務に役立つユースケースを想定し、店舗の実業務とTableauの知識・統計の知識等を組み合わせたカリキュラムを自社で用意している為、実際に現場で役に立つスキルを身に着けることが可能となります。
もともとITとは縁のなかった店舗勤務経験者のメンバー等が社内教育を受けた後、講師になったり、カリキュラムを作る側に回ったりしておりますので、講義内容も参加者の目線に合わせた形で非常に丁寧で、且つ実務に乗っ取った教育コンテンツとなっており、社内で人材育成が進む好循環が生まれています。

人材育成と業務改善によって業績も大きく向上したグッデイ。
実際に得た成功事例を多くの人に共有しサービスとして提供すべく、2017年4月に「株式会社カホエンタープライズ」を設立するなど、新しい取り組みも始まっています。

〜データ活用例についての紹介〜
社内でデータ活用や従業員の意識改革が進んでいることの具体的な事例として、電力代の削減に関する取り組みを挙げておりました。
今年は電力代の大幅な値上げが話題となっていますが、それは弊社も例外ではありません。
どうすれば電力代を抑えることができるか考えるにあたって、電力会社から提供されている電力使用量のデータをTableauで可視化、店舗別で確認できる様にしておりますので、従業員が日々数値を見ながら節電に励むことにより、前期と比較して約20%の削減に成功したという事例となります。
これらはほんの一例に過ぎないのですが、当社は社長が大枠の方針を定め、従業員がそれぞれに必要な情報に即したデータの可視化(ダッシュボード作成)、それを各店舗で活用し業務効率の改善に努めるというループが出来ています。


(今回の講演での一番のポイント)

〜講演のまとめ〜
今回の講演で柳瀬が一番伝えたかったことは、「成功のポイントは『人』にある」ということです。
単にITツールを導入し作業を効率化しても、「会社が変わる」ほどのインパクトは生じません。

当社ではITの活用をきっかけに、社員の意識・行動両面の変化を促し、会社全体に良い影響を広げていくことが実現できました。
その為には、トップダウンとボトムアップのどちらで改革を進めるのかではなく、両方の変革が必要となります。経営層も日々学び続ける姿勢が必要ですし、またトップの意向を汲んでくれる社員の存在も欠かせません。

講演の最後の締めくくりとして柳瀬が話をしていたのは、「DXとは便利なツールを使って人員を削減することではなく、データを使って組織や人の改革を行うことである」、「データによる意志の統一が、組織の意識変革につながる」ということでした。
グッデイが取り組む「人のDX」を強く表した言葉であったかと思います。


(従業員とともに歩むグッデイのDX)

会場は満員で、熱心にメモを取りながら話を聞いてくださる参加者の方も見られました。
皆様に学びや気づきを提供できる時間になったのではないかと思います。
ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。